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「有給、残ってるけど使えないまま辞めることになりそう」
そう思っている人へ。
結論から言います。有給を使い切ってから辞めることは、法律上できます。
会社の許可も、理由の説明もいりません。
ただし、実際にそうなるかどうかは「交渉できるかどうか」で決まります。ここを知らないまま動くと、10日分も20日分も捨てることになります。
- 有給は権利です。理由の説明も、会社の許可もいりません労働基準法39条。「忙しいから」で断るのは、本来認められません。
- 退職時は、会社が有給を断りにくくなります会社の時季変更権は「別の日にずらす」権利。退職日の先に別の日がないため、事実上使えません。
- 残日数は最大40日。20日あれば、約1ヶ月分の給料に相当します前年の繰り越し分と当年分を合わせた日数です。まず残日数を確認してください。
- 退職代行を使うなら、民間タイプでは有給の交渉ができません交渉が必要なら、労働組合型か弁護士型を選んでください。ここを間違えると有給が丸ごと残ります。
この記事でわかること
有給は「権利」であって「お願い」ではない
まずここを押さえてください。年次有給休暇は労働基準法39条で定められた労働者の権利です。会社が与えるかどうかを判断する制度ではありません。
- 取得に理由はいりません。「なぜ休むのか」を説明する義務はありません。
- 会社の許可も不要です。労働者が時季を指定すれば、それで成立します(時季指定権)。
- 付与のルールは、入社6ヶ月+出勤率8割で10日。その後1年ごとに増え、最大20日まで。
- 時効は2年。2年経つと消えます。
- パート・アルバイトにも付与されます。週の労働日数に応じて比例付与されます。
「有給を取るのに理由を聞かれる」「上司の許可制になっている」という職場は、その運用自体がおかしいです。
会社が拒否できる唯一のケース
会社には時季変更権という権利があります。ただし使えるのは、「事業の正常な運営を妨げる場合」だけです。しかもこれは「その日は困るので、別の日にしてください」と時期をずらす権利であって、有給そのものを拒否する権利ではありません。
退職時は会社が断りにくい理由
ここが本記事のいちばん大事なポイントです。
時季変更権は「別の日にずらす」権利だと書きました。ということは——退職日が決まっていて、その先に「別の日」が存在しない場合、会社は時季変更権を行使できません。
なぜ退職時の有給は通りやすいのか
法律上は、退職前の有給消化はかなり通りやすい状況にあります。
自分の残日数を確認する
交渉の前に、まず残日数を把握してください。ここが曖昧なまま話すと、会社の言い値になります。
- 給与明細に記載されていることが多い
- 勤怠管理システムで確認できる
- 人事や総務に聞く(「残日数を教えてください」だけでOK)
| 勤続年数 | 付与日数(フルタイムの場合) |
|---|---|
| 6ヶ月 | 10日 |
| 1年6ヶ月 | 11日 |
| 2年6ヶ月 | 12日 |
| 3年6ヶ月 | 14日 |
| 4年6ヶ月 | 16日 |
| 5年6ヶ月 | 18日 |
| 6年6ヶ月以上 | 20日 |
時効は2年なので、前年度の繰り越し分と今年度分を合わせて、最大40日持っている人もいます。20日残っていれば、およそ1ヶ月分の給料に相当します。捨てるには大きすぎる金額です。
有給消化のスケジュールの組み方
基本の考え方はシンプルです。退職日から逆算します。
よくある組み方(有給20日の場合)
引き継ぎを先に済ませてから消化に入ると、話がまとまりやすくなります。
ポイントは引き継ぎを先に持ってくることです。「有給を使いたい」だけを主張すると角が立ちますが、「引き継ぎはきちんとやります。そのうえで残りを消化させてください」なら、会社側も断る材料がありません。
断られたときにどうするか
「そんなに休まれたら困る」「うちにそんな前例はない」。実際にはこう言われることがあります。
- まず書面やメールで申請する。口頭だと「聞いていない」と言われます。記録が残る形にしてください。
- 人事や総務に相談する。直属の上司が独断で断っているだけのことがあります。
- 労働基準監督署や総合労働相談コーナーに相談する。無料で相談できます。
- それでも進まないなら、交渉を任せる。後述します。
ここで大事なのは、感情的にぶつからないことです。有給の消化は法的に正当なので、こちらが焦る必要はありません。淡々と記録を残しながら進めるのが結局いちばん早いです。
買い取ってもらえるのか
「消化できないなら、お金に換えてほしい」と考える人は多いです。ここは正確に知っておいてください。
有給の買い取りは、原則として違法です。行政解釈でも、買い上げを予約して有給の日数を減らすことは労基法39条違反とされています。休ませることが制度の目的だからです。
ただし、会社に買い取る義務はありません。「買い取ってください」と要求しても、断られたらそれまでです。
つまり、買い取りをあてにするより、消化を通すほうが確実です。買い取りは会社の善意に依存しますが、消化は法的な権利だからです。
自分で交渉できないときの選択肢
ここまで読んで「理屈は分かったけど、うちの上司には言えない」と思った人へ。
退職代行という手段があります。ただしここで決定的に重要なことがあります。
民間タイプの退職代行は、退職の意思を「伝える」ことしかできません。有給の交渉は法律上できないのです。安さだけで民間型を選ぶと、有給が丸ごと残ったまま終わります。
| タイプ | 有給の交渉 |
|---|---|
| 民間 | できません。伝えるところまで。料金は最安クラス |
| 労働組合 | できます。団体交渉権があるため、有給消化や退職日の調整が可能 |
| 弁護士 | できます。未払い残業代の請求など法的トラブルにも対応。料金は高め |
有給が20日残っていれば、それは1ヶ月分の給料です。数千円の差額で民間型を選んで有給を捨てるのは、計算が合いません。ここは交渉できるタイプを選んでください。
よくある質問
退職を伝える前に、有給を申請してもいいですか?
引き継ぎが終わらないと言われました
有給を使うと、退職金や賞与が減りますか?
パートやアルバイトでも有給はありますか?
有給消化中に次の会社で働けますか?
会社が有給の残日数を教えてくれません
まとめ
この記事のポイント
- 有給は労働基準法39条で定められた権利。理由の説明も会社の許可も不要
- 会社の時季変更権は「別の日にずらす」権利。退職時はずらす先がないため事実上行使できない
- 残日数は最大40日(前年繰り越し+当年分)。20日なら約1ヶ月分の給料に相当する
- 引き継ぎを先に済ませてから消化に入ると、話がまとまりやすい
- 買い取りは原則違法。退職時は例外的に可能だが、会社に義務はない
- 退職代行を使うなら、民間型では有給の交渉ができない。労働組合型か弁護士型を選ぶ
有給は、あなたが働いて得た権利です。使わずに捨てる理由はありません。
まだ辞めると決めていなくても大丈夫です。残日数だけでも、確認しておいてください。
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