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入社して数週間、あるいは数ヶ月。
「もう辞めたい」と思っている自分にいちばん驚いているかもしれません。
まわりはまだ「新人」として見てくれている時期にこんなことを考えている。それが後ろめたくて、誰にも言えずにいる人は多いです。
でも、入社してすぐ辞めることは、法律上まったく問題ありません。
そのうえで、知らずに辞めると損をすることが1つだけあります。この記事では、そこを含めて順番に整理します。
- 入社してすぐ辞めるのは、法律上まったく問題ありません試用期間中も同じです。会社の承認もいりません。
- 正社員なら申し出から14日で退職が成立します民法627条1項。就業規則に「1ヶ月前」とあっても、法的にはこちらが優先されます。
- ただし入社1年未満だと、失業保険が出ない可能性がありますここがいちばんの落とし穴です。自己都合の場合、雇用保険の加入12ヶ月以上が必要になります。
- 言い出せないなら、退職代行という手もありますただし有給や未払いの交渉が必要なら、民間タイプでは対応できません。
この記事でわかること
入社してすぐ辞めるのは「あり」なのか
結論から言うと、ありです。そして、あなたが思っているより多くの人が同じ道を通っています。
「3年は続けろ」という言葉があります。でもこれに法的な根拠はありませんし、誰が言い出したのかも曖昧です。壊れてからでは、3年も何も残りません。
合わないと気づくのに、何年もかける必要はない
入社してすぐ「違う」と感じる理由は、だいたいこのあたりです。
- 聞いていた仕事内容と、実際がまるで違う
- 提示された条件(給料・残業・休日)と実態が違う
- 職場の人間関係が想像以上にきつい
- 研修や引き継ぎがなく放置されている
- 体調に明らかな変化が出はじめた
このうち、上2つは会社側に問題があるケースです。求人票や労働条件通知書と実態が違う場合、あなたが我慢する筋合いはありません。
法律ではどうなっているか
ここは正確に知っておいてください。雇用形態によって、扱いが違います。
正社員など「期間の定めのない雇用」の場合
民法627条1項により、労働者はいつでも退職を申し入れることができ、申し入れの日から14日が経過すれば退職が成立します。会社の承認は必要ありません。
これは試用期間中でも同じです。試用期間だから辞められない、ということはありません。
「退職は1ヶ月前まで」と就業規則にある場合
就業規則にそう書かれていることは多いですが、法的には民法627条が優先すると考えられています。会社の承諾がなくても、2週間の経過で契約は終了します。
ただし解釈には争いもあり、円満に終わらせたいなら就業規則に沿うのが無難ではあります。「引き止められて話が進まない」という状況であれば、14日というラインを知っておく意味は大きいです。
契約社員など「期間の定めのある雇用」の場合
こちらは扱いが違います。民法628条により、契約期間中はやむを得ない事由がなければ退職できません。やむを得ない事由とは、重い病気やケガなど、働き続けることが難しい事情を指します。
ただし救済もあります。労働基準法附則137条により、入社から1年が経過した後は、契約期間中でもいつでも退職できます。
| 雇用形態 | 退職について |
|---|---|
| 正社員・パート(無期) | 申し出から14日で退職可。試用期間中も同じ |
| 契約社員・派遣(有期) | 原則、契約期間中は不可。ただし入社1年経過後はいつでも可 |
| 条件が違っていた場合 | 求人や契約と実態が異なるときは、即時に解除できる場合があります |
申し出てから退職までの流れ
「辞めさせてもらえない」は、法律上は起こり得ません。
辞める前に知ってほしいお金の話
ここが、この記事でいちばん伝えたい部分です。知らずに辞めて後悔する人が多いところなので、飛ばさずに読んでください。
自己都合で辞める場合、失業保険を受け取るには、離職前2年間に雇用保険の加入期間が12ヶ月以上必要だからです。
つまり、入社3ヶ月や半年で自己都合退職すると、失業保険がまったく出ないまま無収入になる可能性があります。「辞めたら失業保険でしばらく食いつなごう」と考えていた人は、ここで計算が狂います。
ただし、救われるケースが3つあります
- 前職の加入期間と通算できる場合。前の職場を辞めてから1年以内で、失業保険を受け取っていなければ、前職の期間を合算できることがあります。
- 会社都合になる場合。解雇や、労働条件が求人と著しく違ったなどの理由なら、加入6ヶ月以上で受給できます。
- 特定理由離職者にあたる場合。体調不良やハラスメントなどが理由でも、会社都合と同じ扱いになることがあります。
2つ目と3つ目は自己判断が難しいので、離職票を受け取ったあとにハローワークで相談してください。離職票の理由欄が「自己都合」になっていても、実態が違えば異議を申し立てられます。
自分の場合はいくら? 失業保険シミュレーターで試算する加入期間を「1年未満」で計算すると、受給できない可能性がある旨が表示されます。先に確認しておくと、辞めたあとの生活設計がしやすくなります。
短期離職は、その後にどう響くか
ここも正直に書きます。影響はゼロではありません。ただ、思っているほど致命的でもないです。
正直なところ、聞かれます
次の面接で「なぜ短期間で辞めたのか」は、ほぼ確実に聞かれます。ここで会社の悪口だけを並べると印象が悪くなるのは事実です。
ただ、答え方は難しくありません。「聞いていた条件と実態が違った」「体調に影響が出た」といった事実を淡々と伝えれば十分です。嘘をつく必要も、必要以上に自分を責めて見せる必要もありません。
第二新卒という枠がある
新卒で入社して数年以内の人は「第二新卒」として、むしろ積極的に採用している企業が少なくありません。社会人経験があり、かつ育てやすいという理由です。短期離職者向けの市場は、ちゃんと存在しています。
自分で言えるかどうかで、やり方が変わる
ここから先は、あなたの状況によって道が分かれます。
自分で言えそうな場合
直属の上司に、口頭で伝えるのが基本です。そのあと退職届を出します。理由は「一身上の都合」で足ります。詳しく説明する義務はありません。
引き止められたときは、「もう決めたことなので」で構いません。理由を細かく説明すると、その理由を一つずつ潰しにきます。
書き方が分からない人へ 退職届を1分で作る言えそうにない場合
次のような状況なら、無理に自分で言おうとしなくて大丈夫です。
- 上司が怖くて、切り出せる気がしない
- 一度言ったが、まったく取り合ってもらえない
- 怒鳴られる、人格を否定されるなど、話し合いにならない
- もう明日、会社に行けそうにない
とくに入社したばかりだと、職場に味方がいないことが多いです。相談できる同期も先輩もいない状態で、ひとりで交渉するのはかなり厳しい。ここで消耗する必要はありません。
言い出せないときの選択肢
退職代行という手段があります。あなたの代わりに、退職の意思を会社に伝えてくれるサービスです。
ただし、3つのタイプがあって、できることが違います。ここを知らずに選ぶと後悔しやすいので、そこだけ整理します。
| タイプ | できること |
|---|---|
| 民間 | 退職の意思を「伝える」ところまで。有給や未払いの交渉はできません。料金は最安クラス |
| 労働組合 | 伝えるだけでなく、有給消化や退職日の交渉まで可能。料金は民間より少し上 |
| 弁護士 | 未払い残業代の請求や、慰謝料などの法的トラブルまで対応。料金は高め |
入社してすぐの場合、有給がまだ付与されていない(多くは入社6ヶ月後に付与)ことが多いので、交渉の必要がないなら民間型でも足ります。逆に、給料の未払いがある、条件が違ったと主張したいといった事情があるなら、交渉できるタイプを選んでください。
辞める前にやっておくこと
- 離職票の送付先を伝えておく。試用期間中であっても、離職票の発行は原則として必要です。これがないと失業保険の手続きが始められません。
- 源泉徴収票を受け取る。次の職場での年末調整や、確定申告に必要になります。
- 返却物をまとめておく。保険証、社員証、鍵、貸与されたPCや制服など。
- 健康保険と年金の切り替えを調べておく。国民健康保険への加入か、任意継続か。14日以内が目安のものもあります。
- 証拠になりそうな記録を残す。求人票、労働条件通知書、勤怠の記録、やりとりの履歴。条件が違ったと主張する場合に必要になります。
最後の項目は、とくに「聞いていた話と違う」という理由で辞める場合に重要です。会社都合として認められれば、失業保険の条件も変わってきます。
よくある質問
試用期間中でも辞められますか?
入社1ヶ月で辞めても大丈夫ですか?
研修費用を返せと言われました
損害賠償を請求すると言われました
会社が退職届を受け取ってくれません
次を決めてから辞めたほうがいいですか?
まとめ
この記事のポイント
- 入社してすぐ辞めることは、法律上まったく問題ない。試用期間中も同じ
- 期間の定めのない雇用なら、申し出から14日で退職が成立する(会社の承認は不要)
- 契約社員など有期雇用は原則不可。ただし入社1年経過後はいつでも辞められる
- 入社1年未満の自己都合退職では、失業保険が出ない可能性が高い。前職との通算や会社都合の可能性を確認する
- 短期離職の影響はゼロではないが、第二新卒の市場はある。壊れてから辞めるほうがリスクは大きい
- 自分で言えないなら退職代行という手もある。ただし交渉が必要なら労働組合型か弁護士型を
合わない場所にいると気づけたことは、失敗ではありません。むしろ早く気づけたぶん、選び直せる時間が残っています。
まだ辞めると決めなくて大丈夫です。知っておくだけでも、少し息がしやすくなります。
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